自律神経の本当の乱れ方:表面的なバランスでは見えない深い疲労とは?

自律神経の乱れは本当にそんなに単純?

「自律神経が乱れている」という言葉をよく耳にしますが、その乱れ方って本当にシンプルなものなのでしょうか。10年以上前、私は自律神経の測定器を導入して、来院された方々のデータを片っ端から集めたことがあります。その結果、意外な事実に気がつきました。

多くの人が「交感神経が過剰に働きすぎている」とか「副交感神経が全然働いていない」といった極端な偏りをイメージするかもしれません。しかし、実際に測定してみると、そうした極端な状態にある人はごく少数派だったのです。むしろ、体調を崩している方々の多くは、交感神経も副交感神経もどちらも全体的に活動が低い状態にありました。

このような状態では、体がストレスに対応する力も、回復する力も、どちらも不足しています。簡単に言うと、自律神経全体が「弱っている」状態なのです。私たちが普段感じる疲労感や体調不良の裏には、こうした全体的なエネルギーの低下が隠れていることが多いようです。

表面の症状では見えない「本当の疲れ」

日々の忙しさやストレスの中で、「なんとなく疲れが取れない」「理由もなくだるい」といった声をよく聞きます。これらの症状は、一見すると交感神経と副交感神経のバランスが崩れているように思えますが、実際には「どちらの神経も十分に働けていない」という深刻な状態である可能性があります。つまり、体全体のエネルギーが枯渇しているような状況です。

こうなると、単にリラックスするだけでは解決しません。交感神経のスイッチを切るだけでなく、全体的に自律神経の活動を底上げし、回復力を取り戻す必要があります。

自律神経の声を聴く

体調不良や慢性的な疲労感の裏には、必ず原因があります。それを無視して「ただ疲れているだけ」と片付けてしまうのはもったいないことです。自律神経のバランスが崩れていると感じたら、ただ「乱れている」と片付けずに、自分の体が発している本当の声を聴くことが大切です。

例えば、日々の生活の中で無意識に抱えているストレスや、過去に蓄積した疲労。あるいは、体が求めているのに満たされていない休息や栄養。そういったサインを無視してしまうと、自律神経の働きはさらに弱まってしまいます。

「自律神経の乱れ」は、単なる偏りではなく、もっと深いところにある問題の表れであることが多いのです。表面的な解決法だけではなく、体全体の声に耳を傾けることが、真の健康回復への第一歩ではないでしょうか。

あなたの体は、ちゃんと回復する力を持っています。その力を引き出してあげるためには、表面的な「乱れ」にとらわれず、自分自身の内側と向き合うことが必要です。そしてそのサポートは、私たち専門家が喜んでお手伝いします。

このページの作成者について

著者:和田俊二

~略歴~

早稲田摂陵高校~明治東洋医学院

業界歴33年。学生生活最後の年に交通事故に遭い大怪我をした経験があり、患者の立場になってみて、今まで以上に「結果の出せる施術」を追求する。交通事故の経験は痛みを感じにくい動作やセルフケアの研究につながる。漢方薬店を併設し東洋医学のトータルケアが可能な施術所を設立。思考錯誤を繰り返し開発した「スイッチ鍼法」は特許庁より商標登録の許可を受ける。

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