古武術合気の探究から生まれたスウィッチ操法

合気とは

当院の施術スウィッチ操法®は院長(和田)が古武術合気の探求をすることで生まれた施術です。スウィッチ操法を理解していただく為に合気について説明させていただきます。

合気は古武術の中でも特に不思議で、魅力的な技法の一つです。合気という言葉自体は「相手の気と自分の気を合わせる」という意味があり、力だけではなく、相手との調和を重視した技術が求められます。合気の基本的な考え方は、相手の攻撃を無理に止めたり、力でねじ伏せたりするのではなく、相手の動きに逆らわずに自分の体や気を合わせていくことです。

例えば、相手が自分に向かって押してきたとき、普通の反応としてはそれに対抗して押し返そうとします。しかし、合気の技法では、相手の力をそのまま受け流すようにして、自分自身が無理なく相手を制することができます。これは、単に力を使わずに戦うというよりも、相手の意図や動きを瞬時に読み取り、そのエネルギーを利用して自分の技を掛けるという高度な技術です。

この技法を習得するには、まず自分自身の体と心のバランスを整えることが重要です。合気では、体の中心(丹田)を意識して動くことが基本となります。この中心を意識することで、体全体の動きがスムーズになり、相手との調和が取りやすくなります。また、呼吸のリズムも大切です。深い呼吸を心掛けることで、心を落ち着かせ、相手の動きを冷静に観察することができるようになります。

もう一つ重要なのは、相手との距離感です。合気では、相手との適切な距離を保つことで、相手の動きをコントロールしやすくなります。この距離感を掴むには、何度も練習を重ねる必要がありますが、経験を積むことで自然と体得できるようになります。

合気は単なる技術ではなく、相手と自分との調和を追求する心の在り方でもあります。現代の忙しい生活の中で、このような心のバランスを保つ技法は、精神的なリラックスや集中力の向上にもつながります。また、合気の考え方は、他人とのコミュニケーションや日常生活にも応用できる部分が多く、人間関係をよりスムーズにする助けにもなります。

「よりかかりたくなる」とは

ここからさらに核心にふれます。合気の中で、相手が無意識に「よりかかってくる」あるいは「よりかかりたくなる」現象があります。合気の真髄を体感する上で非常に興味深い部分です。この現象は、物理的な力や技だけでなく、心理的な作用や相手の無意識的な反応が関係しています。

まず、合気では自分の体をリラックスさせ、力を抜くことが重要です。相手が押してくるとき、こちらが力を込めて抵抗すれば、相手も自然と力んでしまい、互いに力のぶつかり合いになってしまいます。しかし、こちらが力を抜き、相手の力を受け流すようにすると、相手はその抵抗の無さを感じ、バランスを崩しやすくなります。これは、相手がこちらによりかかるような形になり、力のやり取りが自然とこちらに有利に働くのです。

さらに、この現象には「重心の操作」が大きな役割を果たします。合気では、相手の重心を巧みに操作する技術があります。例えば、相手が押してきたときに、こちらが相手の重心を少しでも崩すような動きをすると、相手は無意識にそのバランスを取り戻そうとして、こちらによりかかるような形になります。このとき、こちらは力を使わずに相手をコントロールできるのです。

もう一つの要素として、「気」の働きも無視できません。合気では、相手との気の流れを感じ取ることが重要です。こちらがリラックスして集中し、自分の気を落ち着けて相手と調和させると、相手はその安心感から無意識にこちらに寄り添いたくなるような心理状態になります。これは、合気の練習を重ねることで自然と身につくもので、特別な力や技が必要というわけではありません。むしろ、緊張感を解いて相手と調和することで、相手がよりかかってくる現象が引き起こされます。

さらに、相手がよりかかってくる現象を引き出すためには、こちらが「無抵抗」の状態を作り出すことが大切です。相手がこちらに力を加えるとき、こちらがその力を吸収し、まるでスポンジのように相手の力を受け入れると、相手はその「無抵抗」に安心感を覚え、さらに力を加えようとします。この瞬間に相手は完全にこちらによりかかる形になり、その後の技が非常に掛けやすくなるのです。

この現象を理解するためには、相手との「コミュニケーション」が重要です。言葉を交わさずとも、体を通じたコミュニケーションで相手の意図を感じ取り、自分の意図を伝えることができるようになると、相手が自然とこちらによりかかってくるようになります。

普通の施術と名人の施術の違いとは

和田はこの「よりかかってくる」現象は、施術業で名人、ゴッドハンドと呼ばれる人がやっていることとほぼ同じであることに気がつきました。一般的な施術、例えば徒手による「押す・揉む・さする」や鍼灸はその刺激により知覚神経が刺激され求心性の経路で脳に入力されます。一方「よりかかってくる」現象は主体的に運動神経が賦活され遠心性の神経伝達が発生します。運動神経が賦活されるので施術直後から体が動きやくなるのです。これが普通の施術と名人の施術の違いです。補足になりますが症状によっては求心性の刺激のほうが効果的なこともあるので、名人はこれを使い分けています。

求心性と遠心性についてもうすこし掘り下げていきます。

求心性神経は、体の外や内で起きた情報を脳や脊髄に伝える神経です。たとえば、手で何か熱いものを触ったとき、その熱さを感じるのは求心性神経のおかげです。手の皮膚にあるセンサーが「これは熱いぞ」と感じ、その情報が神経を通って脳に送られます。求心性神経は、体の感覚情報を集めて脳や脊髄に「報告」する役割があるので、いわば「報告係」と言えます。

一方で、遠心性神経はその逆で、脳や脊髄から体の各部分に指示を送る神経です。例えば、さっきの熱いものを触った例で言うと、脳が「これは危ないから手を引っ込めろ」と判断したとき、その指示を手に伝えるのが遠心性神経の役割です。遠心性神経は、脳や脊髄からの指令を体の各部位に伝えるので「指令係」と言えるでしょう。

求心性神経は主に感覚神経とも呼ばれます。触覚や痛覚、温度感覚、位置感覚など、外界や体の中の状況を感じ取って、それを脳や脊髄に伝える役割があります。例えば、目で見た情報や耳で聞いた音も、求心性神経を通じて脳に届けられます。体の中で何か異常が起きたときも、例えばお腹が痛いとか、そういう内側の感覚も求心性神経によって脳に伝わります。

逆に遠心性神経は運動神経とも呼ばれていて、筋肉や内臓に働きかける役割があります。脳や脊髄からの指示を受け取って、筋肉を動かすために情報を伝えたり、心臓を動かすために信号を送ったりします。だから、何か行動を起こすときには、必ず遠心性神経が活躍しているんです。走ったり、物を持ったりするのも遠心性神経の仕事ですし、心臓を動かして血液を循環させるのも、この神経の役割です。

この二つの神経はお互いに補い合っていて、体の情報のやり取りをスムーズにしています。まず、求心性神経が「外の世界はこうなってるよ」と脳に伝え、次に脳が「じゃあこうしよう」と判断し、その指令を遠心性神経が伝える、という感じです。たとえば、何か危険なものに触れたら、瞬時に手を引っ込める反応ができるのも、求心性神経と遠心性神経がしっかり連携しているおかげなんです。これは自律神経の交感神経と副交感神経の関係あるいは東洋医学の陰陽の関係に通じるものがあります。

こうしてみると、求心性神経は「感じて報告する」、遠心性神経は「命令を伝えて動かす」という役割分担がよく分かると思います。両者はそれぞれ違った方向に情報を伝えますが、そのおかげで私たちは外部の環境に素早く対応し、体の中のバランスを保ちながら生活できているんですね。

操体法へのオマージュ

スウィッチ操法の「操」は操体法からヒントを得ています。

操体法は、身体の自然な動きや感覚を活かして、健康を回復させる日本の独自な治療法です。考案者は橋本敬三医師で、彼はこの方法を通じて「体の声を聞くこと」が健康への鍵だと説きました。

操体法の基本的な考え方は、体が自然に感じる「心地よい動き」を探し、その動きを活用することで体のバランスを整えるというものです。体に痛みや違和感があるとき、その部分を無理に動かすのではなく、逆に「心地よい」方向へ体を動かすことで、自然治癒力を引き出します。このアプローチは、体に無理をさせず、リラックスした状態で治療を進めるため、ストレスも少なく、結果的に痛みや緊張が和らぐことが多いです。

例えば、腰に痛みを感じる場合、痛みを避けるように体を動かすのではなく、どの方向に動かすと心地よいかを探します。その心地よい方向に動かして、自然に呼吸を合わせることで、体のバランスが整い、痛みが軽減されることがあります。

操体法は、体のバランスや姿勢が崩れることで発生する不調に対して効果的です。姿勢や動きのバランスが悪いと、一部の筋肉や関節に過剰な負担がかかり、それが痛みやこり、さらには内臓の不調にまでつながることがあります。操体法では、これらのバランスを取り戻すために、体が自然に感じる「気持ち良さ」を重視します。

また、操体法は動作だけでなく、呼吸や食生活、生活習慣全般を見直すことも重要だと考えています。体だけでなく、心と生活環境全体を整えることで、健康を取り戻すという holistic(ホリスティック)なアプローチを取ります。

和田は高校卒業後にこの業界に入り、様々な施術にふれてきましたが操体法の思想・哲学がいちばんしっくりきて大好きです。

元気のスウィッチを入れる

業界歴34年(2024年現在)経験、古武術合気の探求、操体法へのオマージュから生まれたスウィッチ操法は、体の不調を改善するのはあくまで、その人自身のもつ回復力、自然治癒力だと考えています。施術者はその力が改善に向かうスウィッチをいれるだけなのです。

 

同業者・学生の方へ

あなたの施術メニューに革新をもたらす「スウィッチ操法®」を導入しませんか?

古武術合気の深い探究から生まれた「スウィッチ操法®」は、施術者の技術とお客様の満足度を一層高めるためのオリジナル施術法です。他にはない特別なアプローチとして施術メニューに加えることで、貴院・貴店の差別化を図ることができます。

「スウィッチ操法®」の特徴とメリット:

  • 古武術合気に基づいた独自の技法:身体の自然な動きと調和を重視し、力まずに効果を引き出せるため、施術者の負担を軽減しつつ高い効果が期待できます。
  • ていねいな技術指導:ひとりひとりに合わせたマンツーマンの指導で確実に技術を習得していただけます。導入後すぐに施術メニューに組み込むことが可能です。
  • 差別化されたサービスを提供:従来の施術とは一線を画す手法で、顧客のリピート率向上や新規顧客の獲得に貢献します。

 

当院では今のところスタッフを雇い入れる予定はありません。しかし、当院で働いて技術を身に付けたいという問い合わせをいただくことがあります。そんな方の為に当院でスウィッチ操法®をマンツーマンでレクチャーいたします。料金は1コマ1時間で初回30,000円、2回目以降25,000円。ご予約はお電話かLINEで受付します。

このページの作成者について

著者:和田俊二

~略歴~

早稲田摂陵高校~明治東洋医学院

業界歴33年。学生生活最後の年に交通事故に遭い大怪我をした経験があり、患者の立場になってみて、今まで以上に「結果の出せる施術」を追求する。交通事故の経験は痛みを感じにくい動作やセルフケアの研究につながる。漢方薬店を併設し東洋医学のトータルケアが可能な施術所を設立。思考錯誤を繰り返し開発した「スイッチ鍼法」は特許庁より商標登録の許可を受ける。

和田はり灸院