背骨と自律神経

<INDEX>

1)背骨は体を支えている大事な幹

2)背骨の施術で難聴が改善

3)内臓体制反射

4)体制内臓反射

5)背部兪穴

6)背骨のゆがみは万病のもと

 

1)背骨は体を支えている大事な幹

脊椎は頸椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨がひとつのユニットとして機能しています。ゴジラの背中みたいなところが棘突起といって、頸椎では水平に伸びていて、胸椎は魔女の鼻のような形、腰椎は平べったい形をしています。

背骨は内臓や自律神経にも深く関わっています。自律神経である交感神経は脊椎から出ていて、副交感神経は頸椎と仙骨から出ています。交感神経の主要な中継所が連なる幹が胸椎の前から肋骨のつなぎ目を通っていることからも、背骨やそれを支えている脊柱起立筋に負担がかかると自律神経にも影響が及ぶのです。

 

2)背骨の施術で難聴が改善

現在(2021年)からおよそ120年くらい前のことです。米国にDDパーマーという人がいました。この方の患者さんで背中に痛みを感じた後くらいから難聴になった。という人がいてその人の背中を注意深く見ていくと背骨が少し突出しているところがあり、その部分をもとに戻す施術をすると、なんと難聴が改善したそうです。これがカイロプラクティックの起源とされています。

 

3)内臓体性反射

内臓の状態が皮膚、筋肉の痛みや緊張として現れます。背骨の両側にたくさんツボ(経穴)があるのは解剖生理学からみても理にかなっています。

 

4)体性内臓反射

皮膚、筋肉などの体性神経から脳や脊髄を通って内臓に反応が現れる。例:背中を押さえると胃がスッキリする。

 

5)背部兪穴

鍼灸施術では頻繁に用いられる経穴(ツボ)に背部兪穴があります。背骨の両側の5㎝くらいの場所にあって、それぞれ~兪という名称がつきます。例:胃兪脾兪、肝兪、肺兪、腎兪など。この「兪」という字には「いやす」という意味があって古来から自律神経を介して反射が起こることを経験的に知られていたのです。

 

6)背骨の歪みは万病のもと

背骨の上下の椎骨の間を自律神経が出入りしています。頭と頸椎の上部、仙骨から副交感神経が出入りしていて、胸椎~腰椎の上方にかけて交感神経が出入りしています。

胸椎には、心臓、肺、肝臓、胃などの働きに関わる交感神経が分布しているので、胸椎や周辺の筋肉に負担がかかると自律神経にも影響して息苦しい、動悸、食欲不振などがおこります。

鍼灸や整体などの代替医療によって肩こりや腰痛以外にも、めまい、耳鳴り、息苦しい、ドキドキするなどの症状を改善することがあるのは背骨と自律神経の関係をみていくと理解できるのではないでしょうか。

 

7)椎骨の可動性減少がもたらす不調

X線、MRIで判別できるのは構造、形態の異常。可動性の減少など機能異常は、触る、触りながら動かすなどしないとわからない。日常的に多くの患者を診察しなければならない医師は一人ずつに丁寧な触診などをしていたら時間がいくらあってもたりません。

通常はX線、MRIなどの画像所見を頼りに異常のある・なしが判断されていると思われます。

原因不明の体調不良には背骨の機能異常が隠れていることも多いのです。実際に当院で検査で異常なしの体調不良の方は背骨、特に胸椎の可動性減少の方が多く、それが改善すると原因不明だった体調不良が改善していくのを何例もみてきました。

このページの作成者について

著者:和田俊二

~略歴~

早稲田摂陵高校~明治東洋医学院

業界歴31年。学生生活最後の年に交通事故に遭い大怪我をした経験があり、患者の立場になってみて、今まで以上に「結果の出せる施術」を追求する。交通事故の経験は痛みを感じにくい動作やセルフケアの研究につながる。漢方薬店を併設し東洋医学のトータルケアが可能な施術所を設立。思考錯誤を繰り返し開発した「スイッチ鍼法」は特許庁より商標登録の許可を受ける。

和田はり灸院